5五将棋のルールと攻略:本将棋との違いと、CPU対局で分かった序盤のコツ
5五将棋(ごごしょうぎ)は、5×5マスの盤で遊ぶ小さな将棋です。駒の動きと持ち駒のルールは本将棋と同じですが、 成れる場所が奥の1段だけだったり、千日手が先手の負けになったりと、細かいところが違います。
この記事の盤面図は、Asobi Loungeの5五将棋が実際に使っているルールの判定から作りました。 後半では、サイトのCPUどうしを合わせて440局対局させた結果と、上級CPUが実際に指した1局から、序盤の落とし穴と持ち駒の使い方を見ていきます。
5五将棋の盤と駒
5五将棋は、1970年に原田泰夫九段が考案した将棋です。使う駒は玉・飛・角・金・銀・歩の6種類で、どれも1枚ずつ。 本将棋から桂馬と香車を抜き、残りの駒を1枚ずつにした形で、相手と合わせても盤の上には12枚しかありません。
はじめの並びは下の図のとおりです。先手は手前の段に、左から玉・金・銀・角・飛と並べ、玉の前(5四)に歩を置きます。 後手は盤を180度回した同じ並びで、玉は右上の1一、歩は1二にいます。先手の玉と後手の玉は、盤の対角線の両端に向かい合っています。
本将棋とのルールの違い
駒の動き、取った駒を自分の駒として打てること、王手を放っておけないことは、本将棋とまったく同じです。 違いは次の表のとおりで、とくに「成れる場所」と「千日手」は、本将棋に慣れた人ほど間違えやすいところです。
| 項目 | 本将棋 | 5五将棋 |
|---|---|---|
| 盤 | 9×9マス | 5×5マス |
| 駒 | 8種類・1人20枚 | 6種類・1人6枚(桂馬と香車はない) |
| 成れる場所 | 相手側の3段 | 相手側の1段だけ |
| 成れる駒 | 飛・角・銀・桂・香・歩 | 飛・角・銀・歩 |
| 千日手(同じ局面が4回) | 指し直し(このサイトの将棋では引き分け) | 先手の負け |
| 連続王手の千日手 | 王手をかけ続けた側の負け | 同じ |
| 王手されていないのに指せる手がない | 実戦ではまず起きない | 指せない側の負け |
| 反則 | 二歩・行き所のない駒・打ち歩詰めなど | 二歩・行き所のない歩・打ち歩詰め |
成れるのは奥の1段だけ
成れるのは、相手側のいちばん奥の段に入るとき、そこから出るとき、そこで動くときだけです。 飛車が相手の2段目まで進んでも成れません。歩は奥の段に着いたら必ず成ります(その先に動けなくなるため)。 銀・角・飛は成るか成らないかを選べるので、このサイトでは奥の段に関わる手を指すと、盤の上に「成る」「不成」のボタンが出ます。
千日手は先手の負け
同じ局面(盤の駒、持ち駒、手番がすべて同じ)が4回現れると千日手で、5五将棋では先手の負けになります。 ただし、片方が王手をかけ続けて同じ局面になった場合は、王手をかけ続けた側の負けです。 先手は同じ手を繰り返すと負けるので、形勢が互角なら手を変える必要があり、後手は苦しいときに繰り返しを狙えます。
玉しか残らないと動けなくなる
盤が狭いので、玉だけになると、王手をかけられていないのに指せる手がない、という形が本当に起こります。 このサイトではこの場合も指せない側の負けです。CPUの入門どうしを200局対局させたときは、102局がこの形で終わりました。
最初の一手は14通り。取ってはいけない歩
はじめの局面で先手が指せる手は、ルールの判定で数えると14通りです。内訳は、歩1、玉1、金2、銀3、角4、飛車3。 行き先が同じ手もあるので、行き先のマスは9か所になります。
目に付きやすいのが、1筋の飛車で1二の歩を取る▲1二飛です。歩を取り、しかも王手になります。 ところが1二には後手の金と玉の両方が利いていて、△同金でも△同玉でも飛車をただで取られます。 歩1枚と飛車の交換で、このサイトのCPUの点数(後で紹介します)でいえば、100点を取って640点を失う計算です。
この手は、駒を取れるかどうかだけを見ると、いちばん良い手に見えます。 実際、1手先しか読まない入門のCPUは、先手を持った250局のうち136局(54%)で、この▲1二飛を最初に指しました。 2手先まで読む初級からは、一度も指していません。後手側にも同じ形があり、5一の飛車で5四の歩を取ると、5五の玉か4五の金に取られます。
CPUどうしを440局対局させて分かったこと
このサイトの5五将棋には、入門・初級・中級・上級の4段階のCPUがあります。 サイトのCPUと同じ思考のプログラムをパソコン上で動かし、強さの違う組み合わせは1局ごとに先手と後手を入れ替えて、決着まで対局させました。 手数は、両者の指し手を1手ずつ数えています。上級は1手2秒ほどで読みを打ち切る作りなので、パソコンの速さによって結果が少し変わることがあります。
| 組み合わせ | 対局数 | 結果 | 平均手数 |
|---|---|---|---|
| 入門 対 初級 | 100局 | 初級の100勝 | 17.1手 |
| 初級 対 中級 | 100局 | 中級の96勝4敗 | 37.7手 |
| 中級 対 上級 | 40局 | 上級の40勝 | 37.1手 |
| 初級 対 初級 | 200局 | 先手104勝・後手96勝 | 46.9手 |
表と対局の記録から、次のことが分かりました。
- 強さの段階ははっきり分かれている。どの組み合わせでも、1段階上のCPUがほとんど勝ちました。1つの強さに安定して勝てるようになってから次へ進む、という練習の順番が合っています。
- 先手と後手の差は、はっきりしない。初級どうしの200局では先手が52%で、この局数では偶然の範囲です。少なくともこのレベルでは、どちらを持っても同じくらい戦えます。
- 千日手は1度もなかった。440局のうち437局が詰み、3局が「指せる手がない」で終わりました。
- 4手に1手は持ち駒を打つ手。中級対上級の40局では、全1,486手のうち350手(24%)が持ち駒を打つ手でした。初級どうしでも19%です。1局で取られた駒は両者合わせて平均約12枚で、駒は何度も持ち主を変えます。
- 中級と上級の最初の一手は、いつも▲4四銀。先手を持った中級は70局、上級は20局のすべてで、銀を斜め前に上がる▲4四銀から指しました。初級でも、いちばん多い初手は▲4四銀(300局中108局)でした。
参考までに、1つの局面で指せる手の数は、初級どうしの対局の平均で約23通りでした。少ないようですが、1手ごとに取り合いと打つ手が絡むので、読むべき手は見た目より多くなります。 上級のCPUは、実際の局面54か所で調べると、多くの局面で8手前後先まで読んでいました。
上級CPUの実戦:持ち駒3枚で5手詰め
上級(先手)と中級(後手)を対局させた中から、25手で詰みになった1局を紹介します。棋譜は次のとおりです。
▲4四銀 △2二銀 ▲5三歩 △1三歩 ▲4三角 △1四歩 ▲2五飛 △3一金 ▲3四角 △2一玉 ▲5四金 △3二角 ▲3三銀 △5四角 ▲同 玉 △4一飛 ▲2二銀 △同 金 ▲同 飛 △同 玉 ▲2三金打 △3一玉 ▲3二銀打 △4二玉 ▲3三角打
先手は▲4四銀から角を4三、3四へと進め、飛車を2筋に回して後手玉のいる右上に駒を集めました。 14手目に後手が△5四角と金を取り、先手は玉で取り返します(玉が自分から前に出るのも、駒が少ない5五将棋らしい場面です)。 17手目からは▲2二銀△同金▲同飛△同玉と、銀と飛車を捨てて後手の守りの金銀をはがし、角・金・銀を持ち駒にしました。
20手目の図は、王手を続けて詰ませる問題(詰将棋)として解けます。サイトのルール判定で、王手になる手と後手のすべての受けを調べると、 この局面は5手で詰み、1手目の正解は▲2三金打と▲2三銀打の2通りでした。
実戦は▲2三金打。後手玉が△1一玉や△2一玉と逃げると、1手で詰みます。いちばん長く粘れるのは△3一玉で、 そこで▲3二銀打と打てば△4二玉の一手、最後に▲3三角打で詰みです。 3三の角は2三の金が、3二の銀も2三の金が支えていて、後手玉はどちらも取れません。持ち駒を「支えのある場所」に打っていくのが、詰ませ方の基本の形です。
勝つための考え方
持ち駒は、盤の上にあるときより価値が高い
このサイトのCPUは、駒の損得を次の点数で数えています(強さによらず同じ表です)。 同じ駒でも、持ち駒にあるときのほうが高く数えているのが特徴です。持ち駒は、空いているマスならどこにでも打てるからです。盤が狭い5五将棋では、打った駒がすぐに相手の玉の近くで働きます。
| 駒 | 盤の上 | 持ち駒 | 成ったとき |
|---|---|---|---|
| 歩 | 100 | 130 | と金 500 |
| 銀 | 410 | 470 | 成銀 490 |
| 金 | 470 | 530 | (成れない) |
| 角 | 540 | 610 | 馬 780 |
| 飛 | 640 | 720 | 龍 880 |
もう1つ目を引くのは、と金(500点)が金(470点)より高いことです。と金は取られても相手には歩として渡るだけなので、 歩を奥の段まで進めて成ることには、点数以上の意味があります。
相手が駒を持っているときは、玉の周りを空けない
CPUの評価には、「玉の周りの空いているマスの数」と「相手が持っている歩以外の駒の数」を掛けた分だけ減点する、という項目があります。 上の実戦でも、先手は後手玉の周りの空いたマス(2三・3二・3三)に、持ち駒を次々に打ち込んで詰ませました。 相手の持ち駒が増えたら、金や銀を玉のそばに寄せて空きマスを埋めるのが、5五将棋の守りの基本です。
先手は繰り返しを避け、後手は繰り返しを使う
千日手は先手の負けなので、先手は同じ手の往復で時間を稼ぐことができません。 逆に後手は、形勢が悪いときに同じ局面へ戻す手を探すと、引き分けではなく勝ちを拾える可能性があります(王手をかけ続けての繰り返しは、かけた側の負けになる点に注意)。
このサイトで練習する
5五将棋は、CPU対戦と「ふたりで対戦」(1台の画面を交代で使う)なら、ログインせずにすぐ遊べます。 ランダムマッチとルーム対戦はGoogleアカウントでのログインが必要です。友達を招待して遊ぶには、相手もアカウントを作成し、フレンド登録が必要です。


- 強さと手番を選べる:CPUは4段階で、先手か後手かも選べます。後手を選ぶと、千日手のルールを味方につける練習にもなります。
- 待った:自分の手番まで何度でも戻せます。負けた局は、形勢が傾いた手まで戻って別の手を試すと、同じ失敗を繰り返しにくくなります。
- ヒント(1局に3回):上級のCPUと同じ探索で、おすすめの1手を盤に表示します。
- ルール:対局中でも「ルール」ボタンで駒の動きと成りの説明を確認できます。
上の対局データのとおり、強さの段階ははっきり分かれています。入門に先手でも後手でも勝てるようになったら初級へ、という順番で上げていくのがおすすめです。 中級からは駒の取り合いを最後まで読んでくるので、駒を取る手と取られる手を1手ごとに数える習慣が役に立ちます。
本将棋へ進むとき
5五将棋で身につくのは、駒の動き、持ち駒を打つ感覚、そして王手から詰みまでの読みです。どれもそのまま本将棋で使えます。 一方で、本将棋の序盤で大切な囲い(玉を守る陣形)や定跡、桂馬と香車の使い方は、5五将棋では練習できません。
本将棋の上達の順番は、将棋の上達法の記事にまとめています。 5五将棋の上級に勝てるようになったら、本将棋のAI対戦で囲いを組むところから始めてみてください。
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